シロアリとは ? <そのプロフィール> |
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シロアリをご存じですか? シロアリをご覧になったことはありますか? 「 敵を知り己を知れば百戦危うからず。」です。 先ずはシロアリをよく知ることです。 ひょっとすると、印象が変わって興味を持たれる存在になる、かもしれません。 |
シロアリは、白いアリのように見えますが、アリの仲間ではありません。
ゴキブリとは共通の祖先を持ち近縁筋にあたりますが、この仲間でもありません。
3億年程前に現れたと考えられている、シロアリという一つの独立したグループに属する昆虫です。
その特徴の一つは、セルロースを餌とすることです。 言うまでもなく、セルロースは植物の体の主成分で特に木の幹に多く含まれており、これを食べる動物は星の数ほどいます。 しかし、葉を食べるイモムシなどの昆虫類を始めそのほとんどはほかの成分を吸収するだけで、 大量に含まれるセルロースは分解できずにそのまま捨てているのです。 これに対してシロアリは、腸内にセルロースを分解する原生動物が共生しているため、栄養源として消化・吸収することができます。 そのことは、世界中で最も豊富でかつ競争相手のいない餌を手に入れたことを意味します。 おかげでシロアリは現在世界で最も輝かしい繁栄の座に着いているのです。 原生動物(体が細胞一個でできている、最も簡単な構造の動物。) |
そこに人間が出現し、木を住まいに利用するようになると、不可避的にこれを巡ってシロアリとの競合が起こります。 |
シロアリの特徴のもう1つは、巣を造って家族で生活をすることです。 1対の王と女王それにその子供である働きアリや兵アリたちの大家族が、巣の中で仕事を分担して暮らしています。 2匹の親(羽アリのカップル)から始まる巣は、木を食べては数を増やし増えては食べといった生活を続け、 両親は王と女王になります。巣が成熟すると羽アリを育て、外に送り出すようになります。 巣が大きくなるだけでは寿命が尽きると絶えてしまうため、巣の数を増やす必要があるのです。 羽アリの数はシロアリの種類によって違い、数〜数万匹です。 毎年決まった季節に現れ、巣を離れて別の場所で新しい巣を造ります。 巣内の全シロアリ数も種類によって違い、数百〜数百万匹です。 もとの巣は、毎年羽アリを出し続け、10年以上生き続けます。 |
アリやハチとの違いは、オスが常在すること、兵アリの形が変わっていることなどのほか
特に巣が大変発達していることが注目されます。
日本にも直径1メートル程の巣を造るシロアリがいますが、アフリカの巨大な巣には高さ9メートルになるものがあります。
これは、シロアリを人間の大きさにすると実に1500メートルを超える超高層建築となります。
空調機能も精密を極め、巣温約30℃その変動幅はなんと0.9℃、湿度約100%、CO2 濃度約2.7%でほぼ一定
という観測結果が得られています。
どうやら巣の中では水の気化・空気の対流・ガス拡散といった物理現象が自然に生じ、
その結果定常性が保たれるような構造に造られているらしいのです。
そこでは、自分たちの食料用キノコの栽培まで行われています。
この超省エネ型のシロアリ空調システムは、人間の空調設備の発明よりはずいぶん前に達成されたものです。
この様に、シロアリは下等で陰湿なイメージとは違い、実際には極めて賢明で進んだ生活をしている存在なのです。